SEA SIDE LOVERS
「ちょっとリボーン何するの」
「何って・・やることはひとつだろ?」
彼に押し倒されてばたばたする姿は、端から見れば大人が
子供に襲われているような光景だが、俺はもちろん必死だった。
決死の思いで取り付けた彼の休暇を、ボスの特権で俺のオフと同日に
したのだ。職権乱用と彼は笑ったけれど、このところ会っても
キスさえしない事が続いていたので俺は確かに、欲求不満だった。
「で、でも・・せっかく」
「ビーチに着いたのに海の前で・・か?」
俺は顔が熱くなって顔を背けた。ナポリのプライベートビーチは
ボンゴレ専用だから、何をしようと俺たちの勝手だけど・・まさか
青い海の目の前で、虹色のパラソルの下で、
こんなことをするなんて思ってもいなかったんだ。それが、甘かった。
「ご奉仕しろって言っただろ?」
「そ・・それは」
「遠慮は不用だぜ」
なぁボス、と耳元で囁かれて俺は背中が仰け反ってしまった。
感じていることがばれてしまう・・
以前にもっと直線的に、俺の下半身は反応した。
口惜しいことに、それに気づかない彼ではない。
「こっちはもう十分みたいだな」
「やっやだ・・やめて・・・こんなところで」
俺は涙目だったのではないかと思う。
誰も見ていないとはいえ、天気のいい清らかな海辺で、不謹慎な
ことにふけるなんて。
光輝く太陽の下、君に恥ずかしいところもみっともないところも
すべて見られてしまうなんて・・
そんなの、何かの罰を受けているみたいじゃないか。
「リボーン、だめだって・・」
俺が彼の手を振り払うと、リボーンは音を立てて唇にキスをするなりこう言った。
「愛してる」
「・・え?」
リボーンは俺の手首を取ると、息を飲むくらい綺麗に微笑み、
もう一度首にキスをして「愛してる」と言った。
俺の聞き間違いじゃないと信じたい。それが仇になっても。
「波の数だけ愛してると言ってやる・・だから、大人しくしてろ」
「・・嘘」
これから証明してやるよ、と微笑んだ彼に抱きしめられた時には
既に、俺はすべての衣服を失っていた。
それから俺たちは外聞も恥じらいもかなぐり捨てて、
極めて動物的に、情熱的に交わった。
会えなかった不満を、ぶつけ合うかのように。
愛してる、ただそれだけを確かめ合うために。
黄色い太陽の下、潮騒の響く、コバルトブルーの楽園で。