「ふっ・・は、ぁ・・ディーノさん?」
 長く深いキスに眩暈を覚えて、ツナは
空ろな眼で彼を見上げる。
 自分を見下ろす彼はため息が出るほど
美しく、にこやかな笑みを浮かべている。
 その微笑みも、優しい顔も変わらないのに
――何かが、おかしい。

  例えば、その体勢。ツナはベッドの上に
仰向けになったまま組み敷かれ、両腕は彼の右手で
押さえつけられている。
 抵抗を試みるはずの両足は力がまったく入らず、
それをいいことにディーノは左手でツナのズボンの
チャックを下ろすと、そのまま下着ごと彼の衣類を
引き抜いた。
「ちょっ・・ディーノさん!?」
 彼の予想だにしない所業にツナはパニックに
なりかけていた。むき出しになった下半身に
彼の視線が注いでいる。

「ここも可愛いんだなーツナは」
 のほほんとした口調で言われ、ツナは首筋まで
紅く染め上がった。
「な、やめてください・・ディーノさん!!」
 見ないで、と涙を浮かべたツナにディーノは
顔を上げ、ツナの上に身を乗り出した。

「俺さ・・ツナのこと、全部欲しいって思ってたんだ」
「あぁっ、ちょっと・・ディーノさ・・んっ」
 切なげな表情で見つめる碧い瞳に、ツナも一瞬
悲しくなったが、同時に彼は幼いツナの性器を
左手でいじるように弄んだ。

「ここも、ここも・・全部、俺のもんにしていいよな?」
 呟きながらディーノはツナの唇、上顎、首筋
に順々にキスを落とす。紅い印が刻まれるたび
ツナは小さく喘いだ。
「や・・あ、・・んっ、もうだめ・・ですっ」
 いじったこともない自身を嬲られ、キスの
雨が降る中の殺し文句に、ツナは泣きながら
解放を懇願する。

彼にはディーノの言葉は、微塵も届いてはいなかった。
ツナが覚えているのは、彼がいつもの通りに優しく、紳士的で
溶けるような甘い笑顔を浮かべていたということだけだった。